この時計には「マイクロガスライト」という
夜光物質が搭載されて、夜でも時間を確認することができます。
通常、腕時計に用いられる夜光物質は「スーパールミノバ」が主流で、
これは光を蓄光するタイプの性質を持つ物質であるのに対して、
このマイクロガスライトは「トリチウム」という放射性物質が使われていて、
物質そのものが光を出す性質があり、
やや使い勝手や仕組みが異なっています。
※ややマニアックな話
夜光物質としては昔は「トリチウム塗料」が使われていましたが
輝度が低く放射性物質の量が多いため安全性に問題がありました。
そこで放射性物質を含まない「スーパールミノバ」が開発され、
現在の夜光技術のデファクトスタンダードになっています。
その一方で蛍光灯に近い要領でトリチウムをガラス管に封入し、
ガラス管に塗った蛍光物質を間接的に光らせることによって
高輝度性と放射性物質の使用量の削減を両立したのが、
ボールウォッチに使われている「マイクロガスライト」なのです。
【スーパールミノバ】
・アルミナ系蓄光性物質
◎最大輝度がマイクロガスライトより明るい
・粉末状のため形状の自由度が高く塗料に混入可能、また焼成も可能。
・実用的な発色範囲が限られる(緑~青)
◎化学的に安定、劣化や変質がしにくく半永久的に使用可能
×蓄光であるため時間の経過により光量逓減
【マイクロガスライト】
・トリチウム系放射性物質
×輝度はルミノバに劣る(T25規制)
・ガラス管に封入形式のため形状に制限あり
◎ルミノバでは難しい暖色系の発色が可能
×放射性物質ゆえ半減期があり、およそ10年で輝度が半減してしまう
☆自発光式のため蓄光不要!!
全体的な使い勝手はルミノバに劣りますが、ルミノバにはない長所もあります。
一番の特徴は蓄光が不要なので暗いところに放置しても、トリチウムを使い果すまで
24時間光りっぱなしなところでしょう。これはマジで感動します!!
チタンが現代におけるミスリルならば、こちらはさながら賢者の石でしょうか。
・これのでかいの人間の体の中に埋め込めばホムンクルス作れそう。
偉い人の体の中に入れてみようぜ。めっちゃ光ってオーラ出る。
また自発光式ゆえ、赤や橙、黄色などルミノバでは輝度や残光性が劣る色でも
実用レベルで光らせることができます。
まあ実際は視認性の高い緑や青が多いんですけども。この子は数字のとこが黄色ですね。
ただし明るさ自体はT25規制もあって割と控えめで、光をMAXまでガンガンに当てた
ルミノバには遠く及びません。約2時間経過で段々ルミノバの輝度は落ちてきて並び、
4時間ほど経つとガスライトに分が出てきます。長袖ならこっちの方が便利かも。
こんな感じでガンガン光ってくれたら最高なんですけどね~。
マイクロガスライトの内側は蛍光物質が塗られておりまして、
蛍光灯と仕組みは同じ。よってブラックライトを当ててやっても光ります。
水族館とか行くとちょっとしたヒーローになれるかも(笑)
以上ボールウォッチでした。
“機械フェチ”と“光り物フェチ”という二つの属性を同時に満たしてくれる
素晴らしい逸品です。腕時計ってホントいい趣味ですよね~
しかしほどほどにしておかないと、
ブログのタイトルが「銀の貧乏録」になってしまいます。それはちょっとなぁ。
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